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愛しき書物達をご紹介
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書 名 排出する都市パリ-泥・ごみ・汚臭と疫病の時代-
著 者 アルフレッド・フランクリン 訳 高橋清徳
出版社 悠書館
出版年 2007年

 昼休みに駅ビルの書店をうろついていて見つけた一冊。どういう理由か、昔からこの手の本が大好きだ。背表紙の題名にひかれて手に取ったのが運のつき。表紙の絵にまず「おお~っと!」と目を奪われ、目次を見て購入決定!アマゾンに注文して、届くのが待ち遠しかったこと、この上なし。
 アルフレッド・フランクリンは19世紀の歴史研究者で、原著は彼の書いた「過去の私的生活」全27巻のうち、「衛生(Hygiène)ー街路の状態、下水、ごみ捨て場、便所、墓地ー」の巻である。副題のとおり、12世紀から18世紀にいたるパリの街の衛生状態について書かれている。
その凄まじさたるや、「嘘だろう?」と言いたくなるような記述が続く。
18世紀にいたってもなお、その衛生状態は現在からは考えられないほど酷い状態だったのだ。華麗なベルサイユ宮殿にはトイレが一箇所しかなく、国王夫妻専用だったそうだ。と言う事は、それ以外の人間は、穴あき椅子を使用していたということになる。もしくは、広大な庭の茂みで・・・。香水は強烈な臭気を消す為だったのか・・・。
 墓地の記述もかなりすごい。特に、イノサン墓地の当時の状況の記述の凄まじさたるや、気分が滅入るほどである。活字を脳内で映像に変換する癖があるので、結構きつい。イノサン墓地は1785年から翌86年にかけて掘り起こされ、発掘された骨は、現在観光スポットになっている「カタコンブ」に運ばれている。その移送の様子や費用など、興味深くもあるが、背筋がぞっとするものでもある。
 華やかに見える大都市の裏側にあった様々な問題は、今の都市が抱える問題と通じるところがたくさんあると思う。一方で、日本人の並外れた清潔志向と対比という点でも非常に興味深い。
 パリの街の真実を知ると、夢が壊れてしまう部分もあるが、そうした日常の上に歴史的事件が起こっていたのだと思うと、それはそれで、なかなか感慨深いものがあるのである。
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