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愛しき書物達をご紹介
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書 名 王たちのセックス 王に愛された女達の歴史
著 者 エレノア・ハーマン 訳:高木玲
   
出版社 KKベストセラーズ
出版年 2005年

原題は「Sex with Kings」それがなぜ邦題は「王たちのセックス」になってしまうのか?原題は女性が主体と感じられるが、邦題では主体は王になってしまう。ちょっと面白くない題の付け方だ。それに、カタカナの「セックス」という言葉は、日本語の中ではあまり広い意味を持っていない。かなり具体的な行為に偏った単語に思える。恐らく、英語におけるsexという単語は、もっと広く深い意味合いを持っているはずだ。そういった意味を保った言葉で邦題をつけてほしかった。

題名はちょっといただけないが、内容はとても真面目なもの。学校で習う歴史がつまらないのは、人間の物語が排除されているからだと思う。この本に書かれているような、教科書の中で取り澄ました顔をしている王達の、あまりに人間臭いエピソードを、歴史の時間に教師が話をしてくれたら、人間達が愚かしくも真剣に、そして、今も昔もどうしようもない愛欲に悩みながら生きて歴史を作ってきたのだという事実を、学生達は知ることができるだろう。「生」という漢字に「りっしんべん=心」をつけて「性」という漢字になるのである。生きるためには心が必要で、そして、生きる為に「性」は不可欠なのである。ヨーロッパの王達とその寵姫の性生活が取り上げられた本ではあるが、男性と女性の奥深い関係は、平凡な私にも思い当たり共感できるところが沢山あった。題名にひるまず、ぜひ読んでみて欲しいものである。

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