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愛しき書物達をご紹介
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書 名 マリー・アントワネットの調香師
     ジャン・ルイ・ファージョンの秘められた生涯~
著 者 エリザベット・ド・フェドー 訳 田村 愛
出版社 原書房
出版年 2007年

 実在の宮廷御用達香水商ジャン・ルイ・ファージョンの生涯をたどる一冊。彼の香水を愛した人々、とりわけ、マリー・アントワネットと、その周囲を華やかに取り巻いていた人々の素顔が生き生きと描き出されている。調香師ファージョンは単に鼻が利き商売上手なだけの男ではなく、哲学を愛する父親の薫陶を受け、近代的な自我と人間と社会に対する理性的な目を持っていた。それが、おそらく後年、宮廷御用達香水商であったがために投獄されたにも関わらず、すんでのところで、ギロチンの餌食にならずにすんだのではないかと思う。
 著者は一人の調香師の生涯を丹念に追っていくことで、彼の顧客であった、デュ・バリー夫人やマリー・アントワネットの日常の生活風景をも鮮やかに描き切っている。彼と同じように、宮廷に出入りしていた、服飾商ローズ・ベルタンや結髪師レオナールなどの人物も、非常に生き生きと描かれている。
 著者が女性であり、歴史家であると同時に、香水に関わる仕事をしているせいもあるかも知れない。膨大な資料から拾い上げられたエピソードが、あたかもひとつの香水のように調和し、さわやかな余韻を感じさせる。巻末の資料も充実していて、18世紀に興味がある人にも、香水に興味がある人にも、お勧めできる一冊。
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書 名 排出する都市パリ-泥・ごみ・汚臭と疫病の時代-
著 者 アルフレッド・フランクリン 訳 高橋清徳
出版社 悠書館
出版年 2007年

 昼休みに駅ビルの書店をうろついていて見つけた一冊。どういう理由か、昔からこの手の本が大好きだ。背表紙の題名にひかれて手に取ったのが運のつき。表紙の絵にまず「おお~っと!」と目を奪われ、目次を見て購入決定!アマゾンに注文して、届くのが待ち遠しかったこと、この上なし。
 アルフレッド・フランクリンは19世紀の歴史研究者で、原著は彼の書いた「過去の私的生活」全27巻のうち、「衛生(Hygiène)ー街路の状態、下水、ごみ捨て場、便所、墓地ー」の巻である。副題のとおり、12世紀から18世紀にいたるパリの街の衛生状態について書かれている。
その凄まじさたるや、「嘘だろう?」と言いたくなるような記述が続く。
18世紀にいたってもなお、その衛生状態は現在からは考えられないほど酷い状態だったのだ。華麗なベルサイユ宮殿にはトイレが一箇所しかなく、国王夫妻専用だったそうだ。と言う事は、それ以外の人間は、穴あき椅子を使用していたということになる。もしくは、広大な庭の茂みで・・・。香水は強烈な臭気を消す為だったのか・・・。
 墓地の記述もかなりすごい。特に、イノサン墓地の当時の状況の記述の凄まじさたるや、気分が滅入るほどである。活字を脳内で映像に変換する癖があるので、結構きつい。イノサン墓地は1785年から翌86年にかけて掘り起こされ、発掘された骨は、現在観光スポットになっている「カタコンブ」に運ばれている。その移送の様子や費用など、興味深くもあるが、背筋がぞっとするものでもある。
 華やかに見える大都市の裏側にあった様々な問題は、今の都市が抱える問題と通じるところがたくさんあると思う。一方で、日本人の並外れた清潔志向と対比という点でも非常に興味深い。
 パリの街の真実を知ると、夢が壊れてしまう部分もあるが、そうした日常の上に歴史的事件が起こっていたのだと思うと、それはそれで、なかなか感慨深いものがあるのである。
書 名 ラヴォアジェ Century Books101
著 者 中川鶴太郎
出版社 清水書院
出版年 1991年


 「人と思想」シリーズの1冊。『世界の有名な大思想家の生涯とその思想を当時の社会的背景にふれながら立体的に解明した思想の入門書』と銘打たれた一般・学生向けのシリーズだけに、とてもわかりやすく、興味を持続しやすい構成で、最期まで楽しく読めた一冊。
 近代化学の創立者と言われるラヴォアジェだが、なぜそう呼ばれているのか恥ずかしながら知りませんでした。錬金術から近代的な化学へと完全に脱皮していくのがまさにラヴォアジェ達が活躍した18世紀後半の出来事であった事に、改めて驚かされます。僅か250年前には酸素という言葉さえなかったのです。更に、ラヴォアジェは単に科学者としてだけ生きたのではなく、フランスブルボン王朝末期のルイ16世の時代に高級官僚として、また、革命後にはメートル法制定に大きな役割を果たし、ギロチンによってその50年の生涯を閉じます。
 断頭台へと彼を追いやったその理由が、彼に豊かな財力をもたらし、高価な実験器具や試薬を潤沢に用意すること可能にさせ、まさに『化学革命』を実現させた、徴税請負人という職業を断罪されてのものでした。まさに現代の化学の発展の扉を大きく開いた彼が、アンシャンレジームの清算の犠牲者となったところに、歴史の光と影を見る思いでした。もしも、この本に学生時代に出会っていたら、もう少し化学の授業に身が入ったかもしれません。
書 名 侯爵夫人ポンパドゥール ヴェルサイユの無冠の女王
著 者 マーガレット・クロスランド 訳 廣田明子
出版社 原書房
出版年 2001年

ポンパドゥール侯爵夫人の波乱の一生を描いた、読み応えのある一冊。公的寵姫として20年間、ルイ15世に仕え、支え、そして、愛した、彼女の生活は壮絶ともいえるものだった。ヴェルサイユの華やかな暮らしの裏にある、野心、欲望、虚栄・・・。平民出身でありながら、誰よりも華やかに、美しく、ロココの女神として生きた彼女の人生は、小説よりも小説的ともいえるかもしれません。



書 名 十八世紀パリ生活誌 タブロー・ド・パリ(上・下)
著 者 メルシエ 編訳 原 宏
出版社 岩波書店 岩波文庫青455-1.2
発行年 1989年

「タブロー・ド・パリ」は1781年に初版が発行され、1788年に全12巻が完結している。まさにベルばらそのものの時代を同時代人が活写しているものである。編者が原典の配列にこだわらず、6つのセクション分けをして、関連のある記事をまとめてくれているので、非常に分かりやすい。2冊で2000円弱。へ~!ホ~!はあ~!と思わず声を上げてしまう。原文にはない挿絵もついている。この挿絵もなかなか興味深い。上巻の巻末には度量衡・貨幣単位と移動祝日の付録付き。記事を読むときには訳注もちゃんと確認しながら読む事をお勧めします。
書 名 コーヒーが廻り世界史が廻る ~近代市民社会の黒い血液~
著 者 臼井隆一郎
出版社 中央公論新社 中公新書 1095

コーヒーという黒い飲み物がいかに世界に広がり、そして、コーヒーを供するコーヒー・ハウスやカフェが近代市民社会の諸制度に影響を与えたかを分かりやすく書いた一冊。イギリスとフランスのコーヒーの受け入れ方の違いが面白かった。フランス革命にコーヒーが果たした役割など、ベルばらファンなら興味深く読めるに違いない。
書 名 絵で見るフランス革命 イメージの政治学 岩波新書新赤74
著 者 多木浩二
出版社 岩波書店
発行年 1989年

 現代は映像を簡単に享受できる。映像で伝達することに私たちはすっかり慣れっこになっている。しかし、映像が持つ危うさをきちんと認識し切れているだろうか?キャプション一つで全く正反対の意味を持たせることができるのが映像なのだ。
 映像をそのまま記録することが不可能だった時代、まさに、「百聞は一見にしかず」だった。ところが、印刷術が発達し、様々な映像が紙に固着され、広く人々に手渡されるようになったとき、映像は、真実ではなく、作為を持って作られる真実らしいものに変化した。そのからくりを見抜けないものは、何者かの意図に踊らされてしまう危険があるのだ。
 フランス革命期はまさに、映像が意図をもって作られ、操作され、人の心を操る魔力を見せつけはじめた時代だった。
 この本に載せられている図版は現存するフランス革命期に作り出された膨大な量の図像の一部に過ぎないと著者は言う。醜悪なまでの風刺画や高邁な理想を喧伝する銅版画に、映像があふれる今を改めて考えなおさずにいられない。
 
書 名 フランス反骨変人列伝 集英社新書0337D
著 者 安達正勝
出版社 集英社
発行年 2006年

ルイ14世の公式寵姫 モンテスパン夫人の夫 モンテスパン侯爵
ナポレオンの勇猛果敢な元帥 ミッシェル・ネー
犯罪者詩人 ラスネール
死刑執行人サンソン家六代目 アンリ・クレマン・サンソン

教科書の歴史はつまらない。個人の息遣いが感じられないからだ。
おおよそ正史といわれるものは為政者の都合で書かれていたりする。
正史には決して取り上げられることのない強烈な個性を持った人々の
話を知ることができると、時代の息吹を生き生きと感じることができる。
特に気に入ったのは、モンテスパン侯爵♪
書 名 王妃 マリー・アントワネット 地の再発見双書100
著 者 エヴリーヌ・ルヴェ 監修 塚本 哲也 訳 遠藤ゆかり 
出版社 創元社
発行年 2001年

多くの肖像画が載せられている。特に興味をひいたのは、鋭い目をした晩年のフェルゼン伯の肖像画とルイ・シャルルの愛らしい肖像。



書 名 フランス革命史 上・下
著 者 ジュール・ミシュレ 訳 桑原武夫・多田道太郎・樋口謹一
出版社 中公文庫
発行年 2006年

著者ミシュレは1798年パリ生まれ。父親はパリで印刷工として革命のその時代を生きていた。ミシュレは幼い頃から神童として困窮のなか家族の期待と夢を一身に背負い学業に励む。貧しい生まれの彼は、国家の歴史ではなく、生きたフランス人民の歴史を編纂することをライフワークとした。根底には革命の時代に生きた父親の熱い魂があったかもしれない。
とにかく熱い!いかにフランス人民がこの時代を生き抜いてきたのか、権力とはいかなるものか、人間とはいかなるものか、胸に迫る名著である。

 


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